2022年1月29日 土曜日
朝まで起きていた。朝から家に誰もいなかったので自分で薬局に行って抗原検査キットを買った。薬局でキットを買うには薬剤師がいる時間でなくてはならない。
「鼻で検査するタイプのものになりますがよろしいですか」と薬剤師さんに言われ、あの鼻の奥に突っ込むタイプかなあ、痛そうだなあと思いつつ了承したが、説明を受けると鼻には2cmくらいしか突っ込まなくてよいらしい。進歩している。
抽出液をチューブの線まで入れるというプロセスがあるのだが、「真ん中がへこんで見えるので真横から線まで入っているか確かめてください」と言われ、あっそれ試験管を見るときのやり方と同じですよね、と思った。黙っていたが。値段を聞かなかったので5千円ですとか言われたらちょっと嫌だなと思ったが千円ちょっとだった。
家に帰って検査をする。鼻に綿棒を突っ込み、粘膜をこする。それを先ほどのチューブに入れて検体を抽出液に混ぜる。その後、チューブのキャップをとって検査キットに抽出液をスポイトの要領で垂らす。15分ほどすると妊娠検査薬のように線が浮き出て、「T」の部分に線が浮き出たら陽性。
陰性でひとまず安心。確実という保証はないが、自分にできることはやりました、という気持ちでいる。そのあとうとうとして寝てしまった。
夕方に目が覚めた。小佐野彈の歌集『メタリック』を読む。彼は慶應を中高大と出て、台湾で実業家としての顔を持ち、ゲイでもある。この歌集は本当に良い歌集で、買ったのはもう数年前だが最近毎日読んでいる。最初の連作二つ(『無垢な日本で』、『メタリック』)がなかでも好きだ。歌がかっこいい。
ほんたうの差別について語らへば徐々に湿つてゆく白いシャツ
かげろふのやうにゆらりと飛びさうな続柄欄の「友人」の文字
そしてまた新宿の夜 足元は(結婚しよう)ぐらぐらだけど
新宿と名のつく駅が十もあることも君には必然ならむ
執着の証なるべし つやつやとボッテガ・ヴェネタの編み目うつくし
俺たちは帰巣本能うしなつた鴉なんだよ だから好きだよ
上向きに煙吐き出す癖のこと秋来るごとに思ひ出すべし
〈ご休憩・二時間〉終へてもう全部わかつたやうな顔して駅へ
こういう短歌を詠める感性を身に着けたいものです。
寝た後、『メタモルフォーゼの縁側』を読んだ。なにか漫画が読みたいなと思い。大き目の判型で五巻くらいで完結する漫画は外れがない、と思っている。具体的には『かくかくしかじか』、『岡崎に捧ぐ』などがぱっと思い浮かぶ。これもまた例によって当たり。
何の予備知識もなく読んだのだがとてもよかった。簡単にあらすじを紹介してもよいが、そういう「簡単にあらすじを紹介」みたいな精神性はこの種類の漫画に反すると思うので、しない。とてもよかったです。